ユベントスVSインテル
セリエA第6週
勝利2-0。
最初はNedvedだった。インテルの守備陣二人がNedvedを追い、両側から膝を叩き込んできた。挟み撃ちなので衝撃の力を逃がすこともできない。Nedvedが地面に転がったとき、今期のNedvedは終わったと思った。しかしNedvedは不屈だった。たちあがり、この試合九十分を闘い抜いた。
次はIbrahimovic。ゴール前でフリーになったIbrahimovicを止めるため、インテルのDFマテラッツィが思い切り脚に行く。芸術的なタックルだった。相手の脚を壊すのが目的なのだとしたら。敵の足首を片足で固定してから、反対の脚で骨を折りにいく。我慢強いIbrahimovicの顔が苦痛で歪む。こんな表情を彼は今までに見せたことがない。担架、交替だと思った。ところがIbrahimovicは立ち上がり、ピッチに踏みとどまった。傷ついた脚は彼の気持ちを支えきれず、五分後には彼はピッチを去ることにはなったのだが。
これがユベントスとインテルの差だ。フィジカルのリミットを越える強靱な意志。ユベントスは美しいチームだ。
Ibrahimovic渾身のFK、キーパーがこぼしたボールを、Trezeguetが頭で押し込んだのが一点目。二点目はNedvedの左のサイドネットを揺らしたFK。
ユベントスVSラピドウィーン
チャンピオンズリーグ グループステージ 第二戦
勝利3-0。
待ちに待ったIbrahimovicの得点。右サイドからNedvedがスペースに落としたボールをシュート。高くあがったコントロールの難しいボールを、ミラクルレグで狙ったコースに弾くと、ワンバウンドしたボールはキーパーの隙をついてゴール。ここ三試合ゴールがなく、はた目にもイラ立ちが感じられた、攻撃の柱が決めたことを素直に喜びたい。
自身が得点したあと、Ibrahimovicは途中出場のDel Pieroに気をつかって、自分がシュートを打つべき局面でさえ、Del Pieroへパスをだそうとしていた。これと対照的だったのが同じく途中出場したMutu。Mutuは、前線にパスを送った方が得点確率の高かったであろう局面で、ドリブルを選択しゴールを奪った。IbrahimovicにとってDel Pieroが特別な存在であることはよくわかった。しかしIbrahimovicの魅力はそこにはない。自分のゴールにこだわり、自分の栄光(たとえばパルムドール獲得)を追求する、それも無遠慮に直截に、それがIbrahimovicではないのか。今シーズンのIbrahimovicはお行儀が良すぎる。そんなのは彼には似合わない。
ラピドウィーンは良い守備をした。その守備を破り、彼らの希望を砕いたのは前半終了間近のTrezeguetのゴール。この初得点の起点になったのはZambrotta。ドンピシャのパスは見事だった。
Capello7、Abbiati7.5,Cannavaro6.5、Thuram6.5、Zambrotta7、Pessotto6、Giannichedda5.5、Emerson6.5、Camoranesi6.5、Nedved7、Ibrahimovic7、Trezeguet6.5、Mutu6.5
パルマVSユベントス
セリエA第5週
勝利1-2。
CamoranesiはCamoranesiになった。ダービッツのようなMFでもない、ガットゥーゾのようなMFでもない。Camoranesiとしか表現できない、自分だけのスタイルをもつ偉大な選手、それが今のCamoranesiだ。Camoranesiは、倒れない、見逃さない、挫けない、遅れない、そして何より外さない。前半、パルマのコンビネーションに苦しめられていたユベントスを救ったロングシュート。ゴールを狙える決定的なパスを、Trezeguetに、後半12分、18分と二回供給。後半34分にはIbrahimovicのヘッドめがけてドンぴしゃのボールを上げる。同39分にはIbrahimovicからのボールをヘディングでたたきゴールに肉薄。一流選手三人分の働きを一人でやってのけた。
ユベントスの失点は、パルマのMFグレッラに精度の高いパスをFWコッラーディに送られてしまったことによる。厳しくいかなかったPessotto、Giannicheddaのミス。
ユベントスの二点目は、Ibrahimovicがスペースに上げたボールを、走り込んできたVieiraが頭で合わせての得点。DF二人の壁を見事砕いたIbrahimovic、技あり。
ウディネーゼVSユベントス
セリエA第4週
勝利0-1。
ユベントスのDFが今期初めて組織として機能していた。上手くいっているという意識がプレーを溌剌とさせる。Kovac、Abbiatiのファインセーブはこのムードのなかでうまれた。ムードを一変させたのは、中盤の底にディフェンス専門のGiannicheddaを配置したことによる。前にいつも守備的なMFがいることで、ユベントスの最終ラインは、目まぐるしくポジションチェンジをすることなく、自分の位置でディフェンスを組み立てることができた。新加入のメンバーが多く呼吸のあわない現時点では、これは助かる。
Giannicheddaの登用は攻撃にも非常に良い効果をもたらした。守備の負担が減ったEmersonとVieiraがウッディネーゼのDFを、柔らかいメロンでも切るように、いともたやすく切り裂いていく。仮に失点していたとしても、すぐ取り戻せる、そんな雰囲気がチームに満ちていた。4-1-4-1という新しいフォーメーションを見いだしたCapello采配は、見事という他はない。
得点はVieiraのヘッド。お膳立ては二人。正確な長いパスを前線に通したBlasi、ヘッドで空いたスペースにズバリのボールを落としたDel Piero、どちらも溜息がでるような素晴らしいプレーだった。
ユベントスVSアスコリ
セリエA第3週
勝利2-1。
アスコリはユベントスのFWにまったく仕事をさせなかった。ユベントスは完璧にアナライズされてしまっている。NedvedがTrezeguetがどこに走り、どこにパスを出すのか、アスコリにはお見通しだった。自分たちのパターンが読まれていても、簡単にスタイルを変えないのはユベントスの美学。しつこく繰り返し、相手のミスを誘い決める。ユベントスの勝ちに1-0というスコアが多いのは、この美学のためだ。しかし、この試合には美はなかった。アスコリの放ったグラインダーのミドルシュートはあっけなくユベントスのゴールを破ってしまった。Del PieroのFKとPKで辛勝はしたものの、試合の主導権は握っていたのはアスコリだった。
失点はいただけない。主因は無論、守護神Buffonの不在だ。しかし別の弱点もこの試合で明らかになった。CannavaroとKovacのコンビネーションの質の悪さだ。何もしないわけじゃない、でも遅い、弱い、工夫がない。アスコリのFWをシャットアウトできなくて、どうやってアドリアーノやシェフチェンコと勝負するというのだろう。改善を祈るのみだ。
Del Pieroの二点目のキックは見事。ボールの方向を読んでいたキーパーも水平方向の変化についていけなかった。柔らかくコントロールされたシュートには、TrezeguetともIbrahimovicとも違う、Del Pieroにしかだせないニュアンスがはっきりと刻印されていた。
Capello5、Abbiati5、Zambrotta6、Cannavaro5.5、Kovac5.5、Blasi6、Nedved6、Vieira6、Emerson6、Camoranesi6、Trezeguet5,Del Piero6.5
クラブ・ブルージュVSユベントス
チャンピオンズリーグ グループステージ 第一戦
勝利2-1。
噛みつき以外はなんでもありの、激しくてしつこいブルージュのディフェンスにユベントスは手を焼く。最終ラインを振り切っても、GKのシュタイネンが鉄壁と化してゴールを阻む。攻めても攻めても揺れないネット。ようやく後半の21分にNedvedがフリーキックを決める。ホームの大声援を背に、ブルージュが攻めの形を作り初めていたと時間帯だったので、このゴールは効いた。もし外していたら危なかった。
ユベントスが崩れなかったのは、Zambrottaの活躍によるところが大きい。スピードのあるブルージュのFWに負けない脚力、DFと戦いながらあげた絶妙なセンタリング。特に後半、足を払われて尻餅をついた体勢から、Ibrahimovicへ送ったラストパスは素晴らしかった。去年までのただの良い選手から、すごい選手に脱皮する兆候が見られる。
ユベントスの二点目はまたしてもTrezeguet。Camoranesiからの山なりパスを、山なりで返して、ゴール。鉄壁は破るより、越える方が簡単。
Capello5、Abbiati4、Zambrotta7、Cannavaro6、Kovac5.5、Blasi6、Nedved7、Vieira6、Emerson6、Camoranesi6.5、Trezeguet7,Ibrahimovic6.5
エンポリVSユベントス
セリエA第二週
勝利4-0。
エンポリは逃げなかった。一枚看板のリガノを中心に九十分攻撃の姿勢を崩さなかった。その相手に無失点で勝利したことは、大きい。ユベントスのポテンシャルの奥行きは深い。
Vieiraは攻守に渡ってそのスキルをみせつけた。DFを抜く技術、パスの出し手を仕留める技術、共に見事。しかしそれ以上に、光ったのは、Vieiraの戦士魂だ。汚いチャージしてきた相手に、しっかりと反応し、自分の肩を叩き込む。この男は、勝ちをもぎとるために必要なメンタルを持っている。
Trezeguetは先週に引き続きシュートを決める。二本目、DFの頭上を山なりの軌跡を描きネットを揺らしたシュートは見事だった。
後半、Pessottoに替わって入った新人Balzarettiは期待できる。動きは俊敏。そのうえポジショニングが大胆だった。DFが同時にFWの仕事もしなければならないという今のサッカーがわかっている。
Capello5、Abbiati6.5、Zambrotta6、Cannavaro6、Kovac5、Pessotto6、Nedved6、Vieira7、Emerson6、Camoranesi6.5、Trezeguet7、Ibrahimovic6.5
ユベントスVSキエーボ
セリエA 第一週
勝利1-0
途中出場Pessottoの献身的な仕事が目についた。右サイドのDFのポジションから、繰り返し繰り返し前に出る。ボールが来ても来なくても前に出る。Pessottoが上がってきてくれたおかげで、右のMF、Camoranesiはゴールに近い好位置にポジションを占め、得点の匂いのするクロスを何度もFWに供給することができた。先発のZebinaの故障がなければ出番はなかっただろう。でもそのチャンスを彼は逃さなかった。不完全燃焼気味の選手が多かったユベントスの中で、Pessottoのひたむきなプレーはいぶし銀の輝きを放っていた。
Trezeguetは切れを戻した。ヘディング、ハイキック、ループぎみのキック。シュートの多彩さ、タイミングには目を見張らせるものがあった。一本決まって良かった。あとは精度だ。得点時のZambrottaのセンタリングはキエーボのDFのミスが原因。強豪(ミラン、チェルシー)にこんなミスは期待できない。
Capello6、Abbiati5、Cannavaro6、Thuram6,Zambrotta6、Pessotto7、Emerson6、Vieira6,Nedved6,Camoranesi6.5、Ibrahimovic5.5、Trezeguet7